服薬指導
薬剤師の責務のひとつである服薬指導とはどのような業務なのか、その特徴や気を付けるべきポイントなどの情報をまとめました。
服薬指導とは
服薬指導とは、医薬品に関する知識・情報を患者様に提供し、安全に薬を使用できるようにする業務のこと。正しい薬の服用方法や回数、効果、副作用についての注意点などを説明するもので、薬剤師法(第25条の2)等の法律によって定められた薬剤師の義務のひとつです。
服薬指導は、単に医薬品の情報を伝えるだけでなく、患者様のライフスタイルや健康状態、薬や体調にまつわる不安・疑問などを知ることのできる場でもあります。服薬指導というコミュニケーションを通して適切なアドバイスを行い、薬の飲み忘れ・副作用の発現・残薬の発生といったトラブルを防ぐことが重要です。
服薬指導で特に気を付けるべきポイント
服薬指導では、薬の効果や使い方などの情報を、患者様に分かりやすく伝える必要があります。むずかしい専門用語を使用すると大事な情報が伝わらず、思わぬトラブルにつながる可能性もあるからです。できるだけ内容をかみ砕き、誰にでも理解できる説明を心がけましょう。
また、一方的に説明を行うだけでなく、患者様の話に耳を傾けることも大切です。薬を使用することに対して不安はないか、何か分からないことはないかなどを確認し、1人1人に合わせた服薬指導を行うようにしましょう。
新卒薬剤師が学ぶべきポイント
医薬品の効果や用法・用量といった知識を把握しておくことは重要ですが、それだけでは十分な服薬指導はできません。服薬指導は、抱える疾病やライフスタイルの異なる患者様に合わせて行う必要があるため、さまざまなケースに対応できる幅広い知識・スキルを学んでおくことが大切。新しい医薬品や薬物治療についての情報を収集し、常に最新の情報にアップデートしておくようにしましょう。
また、コミュニケーションスキルを磨くことも服薬指導の質を高める要素のひとつです。伝え方や表現のバリエーションを増やす、聞き取りやすいペースで話す、患者様との会話から情報を引き出す、話しやすい雰囲気作りといったスキルを学び、スムーズに信頼関係を構築できるようにしましょう。
現職薬剤師に聞いた
服薬指導のこだわりポイント
服薬指導について、調剤薬局で働く薬剤師たちはどのような想いを持って対応しているのでしょうか。当サイトの監修である「トーカイ薬局」の協力の基、新卒として調剤薬局で働いている先輩薬剤師たちに、各々のこだわりポイントを伺いました。
薬剤師歴2年目名城大学
家で困ることがないようフォロー
小児科門前ということで、まずは薬が飲めるかどうかを確認することを大切にしています。その上で、飲みにくい薬が処方されている場合は飲みやすい方法を伝えるようにしています。乳幼児に関しては、食事あとだと薬の食いつきが悪いため食事前の方がいいなど親御さんが家で困ることがないように先にフォローすることを心掛けています。
薬剤師歴5年目愛知学院大学
患者様に合わせて質問形式を変えています
薬剤師として話したい・話さなければならないことを話すだけになってしまうと、一方通行なコミュニケーションとなってしまうため、患者様に合わせてオープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを使い分け質問をすることで、疑問点や不明点などを解消してもらい、アドヒアランスの向上ができるように指導することを心がけています。
薬剤師歴2年目名城大学
少しでも助けになれるようアドバイス
聴く姿勢を大事にして、まずは患者様の話を聞くようにしています。こちらから一方的に話すことはしないようにしています。不安に思って見えること、疑問に思って見えることがあれば少しでも助けになれるようアドバイスをしたり声かけをしています。
知識がまだ足りない部分もあり、勉強不足だなと感じることもあります。患者様と話す中で、飲み方や薬効などあまり理解されてなさそうな場合は薬袋に大きく記載するなどして工夫しています。
薬剤師歴3年目名城大学
相手の話を聞くことを第一としています
自分が話すことよりも患者様の話を聞くことを特に大切にしています。あまり話をしてくれない人や耳の遠い人、日本語がわからない外国人などコミュニケーションが難しいときもありますが、オープン・クローズの質問の仕方を変えたり、わかりやすい言葉を使って話すようにしています。
新卒の薬剤師にありがちなのが、「一方的に医薬品の説明を行ってしまう」こと。「あれもこれも伝えなければ…!」という焦りから早口になりやすく、患者様が内容を理解できないまま服薬指導を終わらせてしまうこともしばしばです。
患者様の対応やコミュニケーションに慣れるまでには時間が必要ですが、服薬指導を行う際には「対話」を意識することが重要。患者様の目線で物事をとらえ、どうすれば説明が伝わりやすいか、悩みや不安を話しやすくなるかについて考慮しながら、業務にあたるようにしましょう。
「健康ステーション」を展開する
トーカイ薬局の取り組み
引用元:トーカイ薬局公式HPhttps://www.tokai-pharmacy.com/
2024年現在、愛知県と岐阜県に根差して24店舗の薬局を展開しているトーカイ薬局。「人の心の、いちばん近くに」を掲げ、地域の健康を守るための取り組みを続けています。
特に特徴的なのが、地域の健康ステーションとしての取り組み。トーカイ薬局の窓口にて、薬剤師・栄養士による健康相談を実施することで、ただ「薬を貰いに来る」だけの薬局とは異なる地域貢献を果たしています。また、地域の健康を守るためのイベントなども豊富に企画。中には新卒1年目の薬剤師が企画したものもあるとのことです。


名城大学
患者様の話を邪魔しないことが大事
私が服薬指導業務で特に大切にしている点は患者様の伝えたい事を邪魔しないことです。患者様は不安な気持ちで来ているため、いきなり薬や病気の説明をするのではなく調子や気分などをはじめに聞くようにしています。