大手と中小それぞれのメリット・デメリット
薬剤師の就職先探しで迷いやすいのが、大手企業と中小企業のどちらにするかという問題。ここでは、大手と中小それぞれの特徴と、メリット・デメリットについて解説していきます。
大手薬局と中小薬局の違い
薬局はいわゆる小売業に該当し、中小企業基本法では「資本金の額または出資の総額が5,000万円以下の会社、または常時使用する従業員の数が50人以下の会社および個人」を中小企業と定義しています。大企業については明確な定義がありませんが、中小企業基準法の定義を上回る規模の企業が、大企業と呼ばれています。
薬局でいえば、「資本金や従業員が多い」「全国展開しており店舗数が多い」「全国的に知名度が高い」のが、いわゆる大手薬局。一方で中小薬局は、「中小企業基準法に当てはまる規模の資本金と従業員数」「特定の地域でサービスを展開」「数件~数十件ほどの店舗数」であることが多くなっています。
(https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html)
薬剤師が大手調剤薬局に勤めるメリット
経営基盤が安定している
大手の調剤薬局は資本金が高いため、経営基盤が安定しているのが特徴。また、多店舗展開をしている場合は売り上げを補填し合えるため、給料・ボーナス・福利厚生といった待遇についても安定している傾向があります。
教育・研修制度が整っている
大手の薬局は採用人数も比較的多いため、教育制度や研修制度が整っている傾向があります。新卒はもちろん、中途採用やブランクのある人でも、チャレンジしやすい環境と言えるでしょう。また、資格取得のサポートについても期待できます。
キャリアアップを目指せる
組織が大きい大手薬局では、従業員にあてがわられる役職も多め。調剤薬局を管理する薬局長や店舗を統括する店長など、さまざまなポジションで活躍できる可能性があります。
福利厚生が充実している
安定した経営基盤に基づき、福利厚生が充実しているケースが多いのも大手のメリット。住宅手当・財形貯蓄制度・産休や育児休暇・生理休暇・リフレッシュ休暇など、さまざまな福利厚生を利用できることがあります。
薬剤師が大手調剤薬局に勤めるデメリット
全国転勤の可能性がある
大手の調剤薬局は全国に店舗を展開しているため、場合によっては遠くの店舗に転勤を言い渡される可能性があります。特定の地域に根差した仕事をしたい人や、新しい環境に慣れるのが困難な人にとってはデメリットとなるでしょう。
調剤以外の業務が多い可能性も
調剤薬局における薬剤師の業務は、調剤や服薬指導などが中心です。しかし、ドラッグストアが併設されている場合などは、レジ打ち・品出し・店舗づくりといった業務を任されることもあり、薬剤師としての仕事に集中できないことがあります。
薬剤師が中小調剤薬局に勤めるメリット
地域密着の働き方ができる
中小調剤薬局の多くは、特定の地域に根付いた店舗展開をしています。そのため遠方への異動が少なく、地域のかかりつけ薬局・薬剤師として、お客様に寄り添った働き方をしやすいのがメリットです。
個人の裁量が大きい
中小規模の調剤薬局の場合、新卒でも早期から重要な業務をまかされることがあるなど、個人に与えられる裁量の大きさが魅力。幅広い業務に携わることができ、やりがいも感じられるでしょう。
業務にまつわる自由度が高め
大手と違って、中小の薬局は業務マニュアルや細則が少なく、労働環境が比較的自由であるケースが見られます。企業によっては新卒からでもイベントなどの企画・開催に携わることができるため、「アイデアを活かして地域に貢献したい」という人に向いています。
給与が高い傾向がある
中小薬局は、大手に比べると採用人数・従業員数も少なめです。とくに地方の店舗などでは人員不足に陥りやすいため、長く働いてもらえるようにと、給与を高めに設定しているケースが見られます。
薬剤師が中小調剤薬局に勤めるデメリット
仕事が忙しい可能性がある
中小規模の薬局の場合、1店舗に努めるスタッフ数が少なく、1人が担当する仕事量が多くなる場合があります。調剤だけでなく雑務をまかされることもあり、ときには残業を余儀なくされる可能性もあります。
企業によって待遇や福利厚生に差がある
一般的には、経営基盤の強い大手薬局のほうが福利厚生が充実している傾向があります。しかし、中小であっても福利厚生に力を入れている企業もあるため、事前にチェックしておくことが重要です。
大手と中小のどちらが良いのか迷った場合は、希望する働き方について考えてみましょう。充実した研修制度と、経営の安定性を望むのであれば大手薬局。地域の医療に貢献し、自分自身の力でやりがいを見つけたいと思うのであれば、中小薬局が向いていると考えられます。
「健康ステーション」を展開する
トーカイ薬局の取り組み
引用元:トーカイ薬局公式HPhttps://www.tokai-pharmacy.com/
2024年現在、愛知県と岐阜県に根差して24店舗の薬局を展開しているトーカイ薬局。「人の心の、いちばん近くに」を掲げ、地域の健康を守るための取り組みを続けています。
特に特徴的なのが、地域の健康ステーションとしての取り組み。トーカイ薬局の窓口にて、薬剤師・栄養士による健康相談を実施することで、ただ「薬を貰いに来る」だけの薬局とは異なる地域貢献を果たしています。また、地域の健康を守るためのイベントなども豊富に企画。中には新卒1年目の薬剤師が企画したものもあるとのことです。

