処方監査・疑義照会
薬剤師の業務のひとつである、処方監査・疑義照会について解説しています。業務における注意点や、学ぶべき知識・スキルについてもチェックしておきましょう。
処方監査・疑義照会とは
処方監査とは、医師が発行した処方箋や内容が適切かどうかを確認する業務です。薬物療法の専門家である薬剤師の視点を持って、医師の処方や医療行為に「疑わしい点はないか、問題はないか」について審査。この処方監査については、調剤前に必ず行わなくてはならない業務のひとつです。
疑義照会とは、処方の内容に疑わしい点・不明点があった場合に、処方を行った医師に問い合わせ・確認をする業務。疑わしい点がある状態で調剤を行うことはできないため、薬剤師は調剤前に必ず疑義照会を行う必要があります。このように、医師の処方を薬剤師がダブルチェックすることにより、適切かつ安全な薬物療法の提供を目指すのが処方監査・疑義照会という業務です。
処方監査・疑義照会で
特に気を付けるべきポイント
処方箋を受け取ったら、まず患者氏名・年齢・性別を確認し、医師の押印があるかどうかをチェック。さらに、処方箋の有効期限は処方日を含めて4日以内となっているため、期限内であるかどうかも確認します。薬剤を使用する部位・規格・用法用量が記載されていない場合、内容が不明瞭であるといった場合は、疑義照会をして確認を取りましょう。
また、おくすり手帳や問診票から患者様の薬歴・処方歴をチェックし、飲み合わせ・副作用・アレルギーについての懸念点がないかどうかも確かめます。患者様が市販薬やサプリメント等を使用している場合も多いため、丁寧なヒアリングに基づき、適切なアドバイスを行う必要があります。
新卒薬剤師が学ぶべきポイント
正しく処方監査・疑義照会を行うためには、医薬品や薬物療法における知識・情報を常にアップデートしておくことが大事。薬剤の相互作用や疾患に対する禁忌、副作用情報といった知識について、学び続ける姿勢を大切にしましょう。
また、重大な事故につながりかけたヒヤリ・ハット事例を積極的に収集し、目を通しておくことも重要です。ヒヤリ・ハット事例を知り、分析することにより、同じような事例を未然に防ぐことが可能。処方監査の精度向上が期待できるようになります。
現職薬剤師に聞いた
処方監査・疑義照会のこだわりポイント
処方監査・疑義照会について、調剤薬局で働く薬剤師たちはどのような想いを持って対応しているのでしょうか。当サイトの監修である「トーカイ薬局」の協力の基、新卒として調剤薬局で働いている先輩薬剤師たちに、各々のこだわりポイントを伺いました。
薬剤師歴4年目愛知学院大学卒
疑義照会の際は病院側にきちんと伝わるように言葉遣いや声のトーン等には気を付けています。また、ドクターと直接対応する際は出荷調整・出荷停止による変更依頼のケースが多いため、代替案を用意しておくとスムーズに会話をすることができます。
大変な点としては、疑義照会をしないといけないケースを見逃してしまうと患者様の健康に影響を与えてしまう可能性があることがあるので、知識を身に着けていかないといけないことです。
薬剤師歴2年目名城大学卒
小児科門前(調剤薬局)のため、患者様一人ひとりの体重や年齢を見て処方されている量、規格があっているかを的確かつスピーディに行うことを大切にしています。小児科門前は粉薬や水剤など調剤に時間を要する内容が多いかつ、子供が待っていられる時間が短いためスピードに関してはこだわっている点です。
薬剤師歴1年目愛知学院大学卒
新人のため知識不足だと感じることも多いですが、見落としがないよう処方1つずつ調べてから患者様に投薬するようにしています。特に小児では年齢や体重によって用量が異なってくるのでより入念にチェックするようにしています。
薬剤師歴2年目名城大学卒
私の店舗には腎機能の低下した方、血糖値が高い方などがみえることが多いので、採血結果をこまめに確認するように心がけています。新たな採血の結果を踏まえて、減量を提案したり、中止を提案することもあります。
また、患者様の状態、投薬時の会話から必要であると判断した場合は医師にトレーシングレポートを記入し、次回の診察時の参考にしていただくこともあり、医師や患者様に感謝されたりした時にはやりがいを感じます。
処方監査および疑義紹介は、医療事故の防止にもつながる薬剤師の重要な責務。正しく処方監査を行うためにも、工程やポイントを押さえ、薬学的知識に則った対応を心がけましょう。
また、処方監査・疑義照会をスムーズに行うためには、患者様や医師との円滑なコミュニケーションが必須。日頃からコミュニケーションスキルを磨き、信頼関係を築けるような対応ができるよう努めることが大切です。
「健康ステーション」を展開する
トーカイ薬局の取り組み
引用元:トーカイ薬局公式HPhttps://www.tokai-pharmacy.com/
2024年現在、愛知県と岐阜県に根差して24店舗の薬局を展開しているトーカイ薬局。「人の心の、いちばん近くに」を掲げ、地域の健康を守るための取り組みを続けています。
特に特徴的なのが、地域の健康ステーションとしての取り組み。トーカイ薬局の窓口にて、薬剤師・栄養士による健康相談を実施することで、ただ「薬を貰いに来る」だけの薬局とは異なる地域貢献を果たしています。また、地域の健康を守るためのイベントなども豊富に企画。中には新卒1年目の薬剤師が企画したものもあるとのことです。


愛知学院大学卒
処方監査で、”処方間違いである”と断定するためには十分な情報が必要になるため、添付文書の禁忌や用法・用量を中心に、副作用、注意点等を確認するようにしています。確認は行いますが、それでも知識が抜けたりアップデートが必要になるため、ガイドラインを参考にして間違いがないように日々勉強に努めるようにしています。