薬歴管理
薬剤師の業務のひとつである、薬歴管理。ここでは、薬歴管理とはどのような業務なのか、どんな点に注意して仕事を進めるべきなのか、といった情報をご紹介していきます。
薬歴管理とは
薬歴とは薬剤服用歴の略称で、薬歴管理とは薬剤服用歴の管理を指します。薬歴管理は薬剤師の基本業務のひとつであり、調剤や提供した医薬品・服薬指導の内容といった情報のほか、患者様の基礎情報・疾患・薬物療法の内容や期間・体質(アレルギーの有無等)などについて記録していきます。
薬歴管理は適切な服薬指導に欠かせないものであり、必要なデータをすぐに参照できるよう記録・保管・管理する必要があります。患者様が調剤薬局を訪れた際はもちろん、医療機関から問い合わせがあった場合にも、スムーズに対応できるよう管理しておかなくてはなりません。
薬歴管理で特に気を付けるべきポイント
薬歴管理の記録簿については記録媒体(紙またはデータ)に関わらず、最終の記入日より3年間にわたって保存することが義務づけられています。ただし、指定自立支援医療機関や生活保護法に基づく指定医療機関の場合、保存期間が5年となるため注意しなければなりません。
また、薬歴を記載する際には「誰が見ても分かりやすい」よう心がける必要があります。1人の患者様に対し、同一の薬剤師がいつも服薬指導を担当するとは限らないため、必要な情報をひと目で把握できるよう、情報を取捨選択しながら記載するようにしましょう。また、服薬指導の内容を忘れないうちに記録を行うことも重要。忙しいからといって薬歴をためてしまうと、重要な情報を書き忘れてしまうこともあります。
(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000267b6-att/2r985200000267lx.pdf)
新卒薬剤師が学ぶべきポイント
薬歴管理の記載方法にはさまざまな種類がありますが、一般的に用いられているのは「SOAP方式」です。SOAPとは、S(subjective):主観的情報、O(objective):客観的情報、A(assessment):評価、P(plan):計画を意味するもので、患者様が抱える問題ごとに記録をする方法です。勤務する調剤薬局によって記録方法やルールは異なりますが、分かりやすく内容をまとめるための手段として、しっかり学んでおくと良いでしょう。
また、薬歴管理には情報収集能力も必要となります。患者様へのヒアリングを徹底することにより、処方の意図を明確にすることができ、1人1人に合わせた服薬指導を行えるようになります。そうした有用なデータを記録できるよう、情報収集の仕方についても学んでおくようにしましょう。
現職薬剤師に聞いた
薬歴管理のこだわりポイント
薬剤師歴2年目名城大学
次に投薬をする薬剤師のことを考えて記載
薬歴管理に関しては、投薬で得た情報を端的にまとめて次回の投薬時に確認して欲しいことをSOAPに記入することを意識しています。それを行うことで、次回投薬をする人が何を聞けばいいのかが分かりやすいので書くように意識しています。
薬剤師歴5年目愛知学院大学卒
できるだけ端的に伝えることを意識する
患者様との会話を一字一句記載すると長く読みにくい文章となってしまうため、できる限り要約したり、医療用語活用したりすることで端的に伝えることを気を付けています。 ただ、何気ない会話の中にも必要事項が多く含まれていることも多いので、簡潔を意識しながらも、できる限り場面が想定できるように記載して他の薬剤師にいかに伝わるか、に注意しています。
薬剤師歴2年目名城大学
要点をまとめて経過を分かりやすくしています
次の人が見てわかりやすい薬歴を心がけています。要点をまとめて書き、経過がわかりやすいようにしています。また、腎機能低下など監査するにあたって重要な事項は毎回確認できるよう、問い合わせに記載したりもしています。
薬剤師歴4年目名城大学
必要な情報が網羅されているかを重視
長すぎずかつ他の薬剤師や立ち入り検査などで読まれた時わかりやすく必要な事項が網羅されているかを大切にしています。
薬歴管理の記載方法などは、勤務する調剤薬局によって異なります。そのため、まずは薬局における薬歴管理のルールを理解し、正確に記録できるようにすると良いでしょう。記録については、服薬指導の内容を忘れないうちにすみやかに記載。他の薬剤師が見てもすぐに内容を理解できるよう、分かりやすく正確に記載することを心がけてください。
「健康ステーション」を展開する
トーカイ薬局の取り組み
引用元:トーカイ薬局公式HPhttps://www.tokai-pharmacy.com/
2024年現在、愛知県と岐阜県に根差して24店舗の薬局を展開しているトーカイ薬局。「人の心の、いちばん近くに」を掲げ、地域の健康を守るための取り組みを続けています。
特に特徴的なのが、地域の健康ステーションとしての取り組み。トーカイ薬局の窓口にて、薬剤師・栄養士による健康相談を実施することで、ただ「薬を貰いに来る」だけの薬局とは異なる地域貢献を果たしています。また、地域の健康を守るためのイベントなども豊富に企画。中には新卒1年目の薬剤師が企画したものもあるとのことです。


愛知学院大学
患者様の話をしっかり聞くようにしています
薬歴は患者様に正確で安全な薬を提供するために、とても大切な業務です。薬歴を記録するには、患者様の話をしっかりと聞き取り、記載漏れを少なくすること、ほかの薬剤師が読んでも理解できるように分かりやすく記録することが大切と考えています。